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脂肪から痩せるホルモン?

 レプチン(Leptin)は、食欲をコントロールするホルモンで、ギリシャ語で「痩せる」という意味の「leptos」から命名されました。脂肪細胞から分泌されるレプチンは、適正な体重を維持する役割を担っているので、「食欲抑制ホルモン」や「抗肥満ホルモン」などとも呼ばれています。レプチンは、全身の脂肪細胞で作られ、体脂肪の量を脳に伝える役割で、脂肪細胞が増えるほど、レプチンの放出量が増えます。しかし、肥満の人の多くは、レプチンが効きにくくなる「レプチン抵抗性」となっており、食欲を抑えられなくなっています。レプチンは主に視床下部に作用することで、摂食抑制とエネルギー消費亢進をもたらし、糖脂質代謝調節作用や性腺機能調節作用、血圧調節作用など多彩な生理作用を有していることが確認されています。
 レプチンを肥満治療薬に応用する試みは様々ありますが、まだ実用化されていません。しかし、脂肪組織が減少・消失する脂肪異栄養症(脂肪萎縮症)では、レプチンを使った医薬品が実用化されています。脂肪萎縮症患者は、脂肪組織を全身から失うので、糖代謝異常と脂質代謝異常を起こて重度の糖尿病や循環器疾患、脂肪肝などを発症、平均寿命は40歳代となっています。脂肪は決して健康の敵ではなく、ほどよい量の脂肪組織はエネルギー代謝の恒常性維持に不可欠なのです。
 レプチンを糖尿病の治療に応用する研究も進められていて、一昨年にペプチドホルモンのレプチンによるインスリン依存性糖尿病の治療法を開発したと発表されています。食欲を調節するレプチンを食品に応用する取り組みもあります。レプチンの働きを欠損させたゲノム編集された「高成長トラフグ」で、通常の2倍の速さで成長します。トラフグゲノムのうち、食べ過ぎを抑制するレプチン受容体遺伝子に、レプチン受容体の機能を欠損し、食欲調節が起こらなくなるため、常に食欲が増進した状態になり高成長につながるのです。フグは、人にとっては有難いですが、人は高成長するのは困りますね。
by ボヤッキー
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