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脳への栄養は、必要?

 「物忘れが多くなった」、「人の名前が出てこない」などで、認知機能が低下していると感じる方は、多い様です。そして、それを改善したり、予防に繋がると特定栄養素のサプリメントや健康食品がたくさん販売されています。しかし、脳科学の第一人者は、「ある特定の栄養素を食べたからといって、それがそのまま脳に直接届いて働くわけではない。」と言っています。
 たしかに食品中の成分は、血液中に入ることで脳にも運ばれますが、血管の壁とニューロンの間にはグリア細胞のアストロサイトがあり、そこを通った物質だけが血液中からニューロンに届くので、血液で運ばれたからといって脳に届くわけではありません。血液脳関門で制御され、この関門を通れる物質は、酸素、ホルモン、ブドウ糖、アミノ酸などに限られており、食品や大気から血液中に入った物質のほとんどは止められてしまい、脳に直接影響をおよぼすことはないのです。(これは脳を守るための重要な防御メカニズムですが、アルコールや特殊な薬物は通過してしまいます。)
 神経伝達に必要と言われるカルシウムなどの栄養素を摂取することは健康を保つ上で必要であり、複雑なメカニズムを介して身体にも脳にも影響を及ばします。しかし、牛乳や魚からカルシウムを沢山取っても、すべてがそのまま血液中に入るわけではなく、また血液中から直接脳に届くこともありません。当然、脳内のカルシウムイオンがそのまま増えて、神経での信号伝達がよくなるということもありません。このことは、脳に効くと宣伝されている多くの食品やサプリメントについても同様のことです。
 わかりやすい単独の原因を指摘したり、手っ取り早い解決法を述べたりする専門家は、これからも絶えずメディアに登場すると思いますが、その理由は、常に、わかりやすい言葉で「いい切る」専門家をメディアが求めているからです。しかし、脳が関わる問題の原因は、たいへん複雑であり、解決法も単純ではありませんので、言い切る専門家の意見は、ほとんどがデタラメと考えていただく方が良いので、サプリメントや健康食品を購入する必要はありません。
by ボヤッキー
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