いつでも月見はできますが、十五夜(中秋の名月)の月見は特別です。中秋とは秋の真ん中という意味で、昔は7月~9月が秋にあたるため、秋の真ん中である8月15日の十五夜を「中秋の名月」と呼び、お月見をする風習をいいます。お月見の風習は唐から伝わり、当初は上流社会で真似ていましたが、次第に民間に広がっていきました。平安貴族は池に映る月を鑑賞していたそうですが、のちに作物の収穫祭と結びつき、人々は豊かな実りの象徴として十五夜を鑑賞し、お供えものをして感謝や祈りを捧げるようになりました。収穫したものに対しては「無事に収穫ができました」これから収穫するものに対しては「豊作でありますように」そして「私たちの今があるのは、ご先祖様のおかげです」と陰で支えてくださるものに感謝し、祈りを捧げるようになったのです。
お供え物の意味
月と同じく丸いだんごをお供えし、それを食べることで、健康と幸せが得られると考えられています。十五夜では、十五にちなんで一寸五分(約4.5センチ)の大きさのだんごを15個お供えします。
ススキ
ススキは、作物や子孫の繁栄を見守ってくださる月の神様の「依り代」と考えられています。本来は稲穂をお供えしたいのですが、稲刈り前にあたるため、稲穂に似たススキが選ばれました。
収穫した野菜やくだもの
芋類の収穫を祝う行事でもあるため、里芋やさつまいもなどをお供えします。旬の野菜や果物も供え、収穫に感謝をします。とくにツルのまま供えると、お月様とのつながりが強くなるといわれています。
お供えものは食べていい?
食べることに本意があります。調理したものを感謝の気持ちをこめてお供えしたら、おろして食べましょう。
月見どろぼう?
お月見のお供えは、近所の子どもが盗んで良いとされていました。お月様が食べてくれたと考えるので、盗み食いが歓迎されたのです。「月見どろぼう」といって、地域ぐるみで伝承してるところもあるようです。また、月見だんごを食べると子宝に恵まれるので、嫁入り前の娘は月見だんごを厳禁とする地域もあります。
心豊かになる日本の行事・風習を後世にも伝えたいですね。
by chirune
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