私たちの体は、約37兆個(60兆個と言われていました。)にもなる細胞の固まりだと言えます。そして、人間の細胞は、コレステロールのお陰で成り立っています。細胞には外部から細胞内部を守る役割をしている細胞膜があります。この細胞膜は、リン脂質、たんぱく質、そしてコレステロールからできているのです。脳には神経が集中しているので、コレステロール全体の1/4を占めています。その多くは神経細胞にあり、脳の情報を体の各部に伝達するためには、神経細胞の電線の役目をする神経繊維を、コレステロールは絶縁体のように被い、脳の情報を素早く正確に体の隅々へ伝達しているのです。つまり脳から体に正しい指令が出るのは、コレステロールのお陰だと言っても良いのです。
また、男性ホルモンや女性ホルモンといったホルモンの原料になっています。実は12gの小さな臓器に関わらず、一番コレステロールを多く含む臓器は副腎です。副腎では50種類ものホルモンが作られていて、これを総称して副腎ホルモン(副腎皮質ホルモン、副腎髄質ホルモン)と呼んでいます。更に、私たちは食べた物を消化するため、肝臓から排出される胆汁によって、食べたものの脂肪の消化を助けてもらっています。コレステロールは、この胆汁の原料にもなっています。
また、米厚生省と農務省が設置した「食事指針諮問委員会」で「コレステロールは過剰摂取を心配する栄養素ではない」という報告書を公表しています。それに合わせて、厚生労働省がまとめた食事摂取基準の2015年版から、生活習慣病予防のためのコレステロール摂取の目標量を廃止しています。
これまでは、コレステロールの過剰摂取によってプラークが動脈に蓄積し、心臓発作や脳卒中リスクが高まると考えられていました。しかし、最近の研究によって動脈硬化による炎症で傷ついた血管を修復するためにLDLコレステロールが集まってくるということが分かりました。ですから、コレステロールが必要な状態で、低下させてしまうことは逆に身体にとって良くないことになります。その影響を一番に受けるのが脳です。認知症やアルツハイマーが増えているのも、コレステロールを下げたためと報告されています。
by 破易怒
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