東洋医学の重要な概念の一つに「気血(きけつ)」があります。気血は、一般的にエネルギーと理解されていますが、その気血の流れる通路のことを経絡(けいらく)と言って、全身に12本あります。ツボ(経穴)は経絡上の要所にあり、ちょうど地下鉄が駅で地表と通じているように、体表との開口部であり、全身に 360余り存在します。ツボを精細に探れば、臓腑につながる経絡の変調を知ることができ、また逆に、ツボに適切な刺激を与えると、体の調整が可能な治療点でもあると言われています。
例えば、足の主要なツボである「足の三里」に何らかの刺激(例えば鍼、お灸等)をすると、胃の働きが活発になることがNHKのテレビ番組でも紹介されました。「足の三里」という経穴は「足の陽明胃経」という経絡にあり、昔から胃に関係のある経穴とされてきましたが、科学的にもそれが実証された一例です。身体の表面に位置する皮膚は、情報の宝庫であると言えます。
内臓に異常が生じると、その情報は主として脊髄後根を通じ、その脊髄断区に相当する一定の決まった体表部に知覚や痛覚過敏として現れます。例えば、胆石症の場合、右背部に凝リや痛み、あるいは右肩への放散痛があることなどはよく知られています。それ以外の内臓異常において、同様な経路で、血管運動神経失調が起こることも確認されています。このことから、体表を精細に観察すれば、病原がどこにあるかが確認できることも多い様です。そして、体表に刺激を加えれば、その経路を遡って内臓に作用し、治療に導くことができると考えられます。この作用を利用しているのが、東洋医学で、鍼灸が胃や肝臓などの内臓疾患の治療に効果をあげている理由の一つと考えられていますが、身体を適度に動かして、その経絡に作用するような筋肉の働かせ方をすれば同様の効果が期待できると思います。
by 自奇留
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