一般的に野球などでの投球動作は、下半身から体幹、そして、腕へと伝達される全身の運動連鎖で成り立ちます。肘の内側には、引っ張られる力が、肘の外側には、圧迫される力が加わります。投球を繰り返すことで筋肉が疲労したり、バランスが悪くなったりして、股関節、体幹、胸郭などの機能が低下すると、それを肩や肘の力で補おうとします。すると、上腕骨と 尺骨を連結する肘の内側側副靭帯に過剰な負荷がかかり、損傷が生じてきます。投球を休み、リハビリをすることで、痛みがない状態になることも多いのですが、損傷の程度によっては、手術をしないと早期の復帰が難しいこともあります。そんな時に用いられるのが内側側副靭帯再建術、いわゆるトミー・ジョン手術です。
かつて大リーグで活躍したトミー・ジョン投手が、損傷した肘の内側側副靭帯を作り直す手術を初めて受けた後、約14年間のシーズンで164勝をあげ、46歳で引退するまでに通算288勝を記録したことで、内側側副靭帯の再建の手術の呼び名になっています。多分ほとんどの人が、手術をした医師の名と思っていたと思いますが、手術を受けた選手の名前だったのです。
トミー・ジョン手術は、まず肘より先の前腕にある 長掌筋(ちょうしょうきん)を採取し、これを、上腕骨と尺骨に作った 孔の中に通し、両端を引っ張った状態で固定し、靭帯の代わりになるようにします。肘の靭帯の手術をした後、投手として復帰できるのですから、本当にすごい手術だと言えます。しかし、肘の靭帯が壊れたら取り換えれば良い、というのは間違った発想です。肘が痛くなってから治すのではなく、痛みが出ないための予防が大切です。そのためには、肩や肘に負担が集中しないような体の使い方やバランスを整えるようにトレーニングしていきたいものですね。
by ドクトル・ノブ
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