ヒトゲノムは、ヒト(人間)を形成するのに必要な情報ならびに生きていくために必要な情報として遺伝子に書き込まれている情報全体のことで、ヒトの生命の「設計図」とも言われています。人間は約37兆個(成人の場合)の細胞で成り立っており、その細胞一つ一つの中に核があり、核には46本の染色体(22対の常染色体と1対の性染色体)が存在し、遺伝情報が記録されています。この染色体上に約30億個のDNA(デオキシリボ核酸)には、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類の塩基性物質(塩基)の組み合わせが、遺伝情報を提供しています。
塩基配列がもたらす遺伝情報はすべての人が同じというわけではなく、個人個人で異なっています。塩基配列の違いは、顔や体型などの違いに関連しており、ヒトに多様性が生じる要素となっています。30億個のDNA解析は壮大なプロジェクトであることから、「ヒトゲノム解析計画」と名づけた国際協力プロジェクトとして1988年から実施され、2003年4月にヒトゲノム解析計画による解読が完了し、ヒトゲノム全体に含まれる遺伝子数等を米国立ヒトゲノム研究所などの国際チームが科学誌サイエンスで発表されました。しかし、実際には当時の技術では解読困難な部分が約8%残っていました。その後もヒトゲノムに関する研究は、活発に推進されていて、チームは新しい手法を開発し、2022年に全ての解読を可能にしたと報告しています。
今後の疾病の発症の解明や新薬の開発(ゲノム創薬)、薬の副作用の作用機序の解明等にヒトゲノムデータが活用され、ヒトゲノム情報と従来からの創薬プロセス等を組み合わせることにより、病気の解明や新薬の開発などが加速されると思います。何より新型コロナウィルス感染症などの感染症の対策に大いに成果を期待したいと思っております。
by 自奇留
クリックお願いします。
コラム
COLUMN
CONTACT
お問い合わせ・ご予約はお気軽にどうぞ
お問い合わせフォーム
06-6645-5885