「体脂肪率は測定するたびに数値が変わるから、あてにならない」と考えていませんか? 数値が変動する原因は、測定方法と体内の水分量による影響が大きいと考えられています。体重計や活動量計を扱うメーカーの多くが、体組成の測定方法として「生体インピーダンス法」という技術を採用しています。これは体の中に微弱な電流を流して電気抵抗を測定し、体脂肪率を推定する方法です。筋肉は多く水分を含み、電流を通す電解質が存在します。一方で脂肪はあまり電流を通さない性質があります。この特性を利用して、測定した電気抵抗の値と身長・体重から体脂肪率を推定します。この測定方法では体の中の水分量によって電気抵抗の値に変動が出るため、体脂肪率にも影響が出ることになります。成人男性で体重の約60%、成人女性では約55%が水分です。重力の影響を受けるため、体を起こして立つと水分は時間の経過とともに下肢へと移動します。このように体内の水分分布に偏りが見られる状態での測定は値が不安定になりやすい傾向があります。
さらに血液循環を促す運動についても、測定値に影響します。体を動かすと、筋肉に酸素や栄養素を運ぶための血流が増え、血液量が多くなります。運動時は、安静時の約5倍の毎分25リットルもの血液が全身に供給されると言われています。血液量の増加によって一時的に体内の水分量も多くなるため、電流が流れやすくなり体脂肪率の値が低くなると考えられます。
体脂肪率の変化を見ると一喜一憂しやすいものですが、あくまでもその時点での体の状態を示す参考値であり、測定を続けることによって、傾向が見えてきます。運動によって筋肉量が増えると体脂肪率は変化しますし、水分が下肢に溜まる浮腫みを予防することにもつながります。普段から体を動かすことを心がけた上で、目安程度に考えていただければと思います。
by chirune
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