耳馴染みのない「後頭下筋群」は、立位や座位の姿勢においては、常に筋肉を収縮しながら頭の位置を調整しバランスをとっています。頭部の重心となる部位が少し前方に位置している為、後頭下筋の力が抜けてしまうと、頭が前方に傾いてしまう構造となっています。電車で居眠りをして、頭が下にガクっと落ちる経験をしたことがある人は多いと思いますが、寝落ちして、この筋肉の力がゆるんで頭を支えられていない状態です。この後頭下筋群は、まっすぐ良い姿勢をとっていたとしても普段からしっかりと働いてくれていて(収縮)、バランスをとっているとても重要な筋肉となります。
例えば、頭や首を動かさずに、目だけを上下左右と動かすとわずかに収縮が起こる筋肉で、首の後ろに手を当てて、目を上下に動かすときに大後頭直筋が、左右に動かすときに下頭斜筋の収縮を感じれます。他の筋肉と違う特徴として、ゴルジ腱器官や筋紡錘と言われる、頭部の位置感覚のセンサー、筋肉の長さや幅を感知するセンサーが他の筋肉よりも非常に多く集まっているので、姿勢によるわずかな不具合などを敏感に感知し、この筋肉が収縮(緊張)し、頭が倒れないように無意識のうちにバランスをとっている重要な筋肉となります。
後頭下筋周辺は、後頭部から側頭部にまでめぐっている後頭神経(大後頭神経、小後頭神経)が走行し、後頭部から側頭部全体にかけていき渡っています.後頭下筋の緊張により、この後頭神経に触れたり、影響が起こると、後頭神経痛といった頭痛がしばしばみられます。また、椎骨動脈や頚動脈といった脳への栄養となる血液を供給する重要な部位となるので、この筋肉が慢性的に筋緊張が起こったり、機能低下が起こると、首こり、肩こり、頭痛、めまい、眼精疲労、慢性的な疲労感、自律神経の乱れによる症状など、あらゆる症状が出現します。
後頭下筋のケア方法としては、不良姿勢の見直しが必要となりますが、姿勢を正す事が非常につらい場合は無理に姿勢を正すことはお勧めはしません。身体がリラックス出来る範囲で姿勢を正し、目を酷使せず休めることが重要です。そして、バランス良く身体を動かすようにしていただくことが一番のケアとなります。
by 筋知良
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