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忘れることは悪いこと?

 一度目にした風景を瞬時に記憶し、スケッチブックに詳細に描くことができる人がいます。その絵はまるで写真のようで、ビルの小さな窓や道を走る車まで細部にわたり忠実に再現されます。見た映像のすべてが、写真のように脳に焼き付けられるのだそうです。一般的な成長を遂げた人では、いろいろな能力をバランスよく発揮するために、脳の様々な機能がお互いに抑制しあっています。記憶力についても、目にした意味のない数字や体験したことの全てが事細かく脳に焼き付けられてしまったら、あっという間に脳の記憶の倉庫がいっぱいになってしまいます。しかし、一般と違う脳の発達を遂げた人では、本来ブレーキをかける「無駄なことは記憶しない」という抑制システムが働かず、覚える必要のないことまで脳に焼き付けられてしまうのです。
 記憶力コンテストなどで優れた成績を収める人の中には、「共感覚」をもった人が多いそうです。共感覚とは、ある情報に触れたときに、その情報がもつ本来の感覚とは別の感覚が混在して生じる現象のことで、たとえば7という数字をみると青い色が感じられたり、ミの音階を聞くと緑色を感じたり、ハンバーグの形に苦い味を感じたりするのです。本を読んだり、外出先で看板を見ても、そこに書かれている文字を目にするたびに次々と異なる感覚が湧き起こり、意味がまったく理解できなくなってしまうのです。共感覚が起こるメカニズムはまだよく解明されていませんが、脳の発達障害と関係があると思われます。赤ちゃんの脳は、神経回路が未完成で、機能の分担ができていません。そのため様々な感覚が混在することがあります。つまり、みんな生まれた時は共感覚を持っていたとも言われており、成長にともない、感覚が独立して発達し、結果として共感覚は失われていくと考えられています。
 見たこと聞いたこと、体験したことのすべてがどんどん記憶されていくとしたら、記憶のシステムが破綻するだけでなく、認知機能が邪魔されて、何が何だか分からなくなってしまうことになります。私たちの脳は、必要な経験だけを選んで記憶し、そうでないことは拒否するようにできているのです。だから、忘れることも大切な機能なのです。
by chirune
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