一昨日に続いて、「性格の違い」についてです。
前頭眼窩野の損傷によって、起こった主な変化
衝動を抑えられない、反社会的行動をとってしまうなど、抑制力の低下、性欲過多
危険を恐れず、ギャンブルを好む、お酒、タバコ、薬物を過剰に摂取する(やめられない)、お金を節約したり、計画的に使うなどの経済感覚がない、思いやりの欠如、自己中心的など、対人関係の障害、人の話に共感できない
前頭眼窩野は、「抑制力」「理性」「社会性」に関わっており、その人の「人格」を決めている脳部位と言えるでしょう。また、前頭眼窩野にはもう一つ重要な機能があることが、近年明らかにされています。それは「意思決定」に関わるということです。前頭眼窩野は、すべての感覚野とつながっているうえ、他の前頭葉領域や、情動の中枢である扁桃体や記憶の中枢である海馬を含む大脳辺縁系とも強くつながっています。なので前頭眼窩野は、大脳辺縁系を中心に生じる欲求や衝動を抑える役割を果たしています。大脳辺縁系を制御するためには、神経連絡が必要なので、強いつながりがあるのは至極当然です。
一方、前頭眼窩野が「意思決定」を行うには、大脳辺縁系で生じる「感情」が必要です。たとえば、私たちは「おいしいそうだから食べよう」「危険で怖いから逃げよう」というように決断します。前編での事故や手術によって前頭眼窩野に損傷を受けた患者が、物事の決断ができなくなってしまったのは、大脳辺縁系とのつながりを絶たれてしまったことで、感情の情報に基づいて考えることができなくなったためと思われます。理性と感情は対立するものと思われがちですが、実際には密接に関係していて、「相互に必要」な存在なのですね。
by chirune
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