食べ物の栄養素は、食事摂取基準によって摂取量が決められていますが、水に関してはどの程度摂取したらいいか、基準値は設定されていません。しかし、人の体にとって水は欠かせません。体の水分が不足すると、熱中症、脳梗塞、心筋梗塞など、さまざまな健康障害のリスク要因になります。また、過剰に摂取した場合も、水中毒という症状が引き起こされ、内臓に負担がかかり体がだるくなったり消化不良を起こしたりすることがあります。これは体内のナトリウム濃度が低下するためで、ひどい場合は死に至ることもあります。
成人が、1日に排出する水分の量を合計すると、約2.5リットルにもなります。主な排出分は、不感蒸泄(汗などとして感じなくても皮膚や呼吸を通して水分が失われていること)として約0.9リットル、尿は約1.5リットル、便は約0.1リットル。排出量に対し摂取量を考えると、普通に生活をしていても、1日の排出量とほぼ同じ、約2.5リットルの水分を補給する必要があります。平均的な食事で約1.0リットル、食べ物を分解してエネルギーを得る際にさらに約0.3リットルの水分を摂取できるので、残りの約 1.2リットルを飲料水から摂取することになります。
人の体は、1日の水分出納を平衡に保っているため、摂取した水分量で尿量が調節されます。夏のように暑く汗を大量にかくときは、その分の水分補給が大切になります。のどの渇きを感じた時は、すでに脱水が始まっている状態です。運動選手や健康成人の場合、十分な水分を摂取しているかどうかを判定する合理的な方法として尿の色を見ることが行われています。明るい麦わら色や淡い黄色の尿は、十分な水分補給が行われていることを示します。濃い色の尿は、水分を十分とっていないことを表します。ただし、一部の薬やビタミン剤が尿の色に影響を与える可能性があります。また、1日の排尿回数も指標となり、健康な人は、4回~7回/日の範囲が良いようです。
By ルン
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