睡眠は、心身の健康を支える基盤であり、不足が続くと「睡眠負債」と呼ばれる状態を招きます。この考え方は、我々の経済活動に例えられて、必要な睡眠時間に対して足りなかった分が「利息付き」で積み重なっていくイメージです。数日眠らないからといってすぐに倒れるわけではありませんが、借金が膨らむように疲労や不調が少しずつ蓄積し、集中力や判断力の低下、感情の不安定、免疫力の低下などにつながります。
不足を取り戻そうと「寝だめ」を試みる人は多いですが、これにもデメリットがあります。休日に長く眠ると体内時計が乱れ、平日との起床時刻の差が大きくなり、いわゆる「ソーシャル・ジェットラグ」という時差ぼけのような状態を引き起こします。その結果、日曜夜に眠れず、月曜朝がつらくなる悪循環が生じます。また、長時間の睡眠は深い眠りが減りやすく、起きたときに頭が重く感じる「睡眠慣性」が強く出ることもあります。さらに、慢性的な睡眠負債で損なわれた脳や代謝機能は、週末にまとめて眠るだけでは完全に回復しません。借金を一度に返そうとしても利息が残るように、睡眠も小出しに不足分を埋めるしかなく、根本的な解決にはならないのです。
大切なのは睡眠負債に陥らないような生活習慣であり、その助けとなるのが「運動」です。適度な運動は、日中に体温計を上げ、夜の自然な体温下降を促して眠気を強めます。また、運動は、ストレスホルモンの分泌を抑え、副交感神経を優位にするため、入眠がスムーズになり深い睡眠が増える効果もあります。さらに、定期的な運動習慣は体内時計を安定させ、休日と平日のリズムの差を小さくしてくれます。
結論として、睡眠負債は寝だめで一気に返せるものではなく、睡眠負債を作らないようにすることが大切です。パランスの良い食事、適度な運動、寝る前のパソコンやスマホを辞める、本日中に寝床に就く等を心掛けていただくことで、健康維持に繋がり、快適に過ごせると思います。
by 参鶏湯
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