筋肉には、運動や血液循環だけでなく、身体への作用はまだまだたくさんありますが、熱を産生するのもその一つです。
人間の体温は、約36.5度で保たれるようになっていますが、この体の熱生産の約6割(参考資料によっては、この値より多かったり、少なく記載されてるモノもあります。)が筋肉の作用によるものです。熱を発生させることで、寒い環境下でも生命維持できることになります。その熱を発生させるため、筋肉は常に、糖質と脂質を中心にエネルギーを消費しています。筋肉が多いと、この熱の発生量も増え、エネルギー消費も多くなるので、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防にも繋がります。
また、筋肉は、人間の免疫力にも大いに関係があります。リンパ球を始めとする免疫細胞は、グルタミンというアミノ酸によって活性化されます。このグルタミンは、筋肉内に多く蓄えられていることから、筋肉が減ってしまうと免疫機能が低下してしまうと言われています。また、筋肉を動かした時に分泌されるマイオカインの中には、免疫に作用するホルモンや酵素が多いことも確認されているので、感染症予防やがん抑制には間違いなく効果が発揮されます。更に、マイオカインには、筋肉や骨の形成や再生、抗炎症作用、糖質や脂質の代謝への関与、心筋細胞や血管内皮細胞の保護などがあることも確認されています。
そして、人間の体の中で、最も大量の水分を保持しているのは、「筋肉」なので、熱中症の予防にも大きく作用します。炎天下で高校球児が熱中症にならないのも、しっかりと筋肉を蓄えているからです。ですから、筋肉が少ない高齢者は、水を飲んでも体に貯めておくことが難しく、脱水症状を起こし易くなるので、熱中症を発症する方が多い理由の一つになっています。
まだまだ知られていない筋肉の機能は、たくさんあるので、筋肉の働きを落さないようにすることが健康を考えるうえで一番重要なことなのです。
by ボヤッキー
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