耳掃除をきちんとされている方も多いと思います。耳掃除をしないとゴミが溜まって聞こえづらくなったり、耳にとって悪影響、不潔などとと考えられていますが、実は数年前から「耳掃除をしない方が身体のため」と日本耳鼻咽喉科学会や米耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(AAO-HNSF)らが新常識になる様に動いているようです。
そもそもまず耳掃除で取れる耳垢の正体はホコリやゴミなどではなく「鼓膜が変化したもの」で、耳の穴の開口部から鼓膜までつながる外耳道を保護する役割を果たしており、完全に不要な老廃物ではありません。鼓膜も皮膚でできていて、糸電話の紙みたいにピンと張っているのですが、糸電話と同じでゆるんだら音が伝わりません。そのため、鼓膜はゆるまないように真ん中から外側にゆっくりと再生していて、爪のように生え変わる仕組みになっています。外へ外へと流された古い鼓膜は、外耳道(耳の入り口から鼓膜までのS字状に曲がった管)の皮膚に変化し、その後数カ月かけて耳の入り口まで移動した後入り口で剥がれて、耳垢になります。この様に耳垢の正体は鼓膜の変化した物であり、何もしなくても外耳道の上皮の動きと、咀嚼やあくびの際の顎の動きなどによって、開口部に向かって徐々に移動していきます。
健康な人であれば、耳掃除は原則不要で、掃除目的で耳に何かを突っ込むことによって、かえって耳垢が奥へと押し込まれて耳の中を塞いでしまう「耳垢塞栓」(じこうそくせん)の可能性や、耳アカを一生懸命取ろうとして綿棒でゴリゴリとこすり、炎症を起こす可能性の方が何十倍も多いようです。実際にアメリカの綿棒には注意喚起として、「耳の中に綿棒を入れないこと。耳の中に入れたら傷の原因になります。掃除をするなら耳の外側を布で拭く程度にとどめるように。」と記載されている様です。
耳掃除は基本的に行わずに耳に違和感などが生じた際に耳鼻咽喉科で確認してもらう方が良いようです。
by コオロギ
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