膵臓内にできた液体が貯留した袋状のものを「膵のう胞」と言います。肝臓や腎臓などにも「のう胞」はできますが、特に珍しいものでもなく、これらの臓器の場合にはほとんどが病的意義はありません。しかし、膵のう胞の場合、腫瘍性のものと非腫瘍性のものがあり、種類により取り扱いが異なってきます。非腫瘍性のものは、急性膵炎や慢性膵炎のような炎症や、外傷などによる損傷に伴ってできるものです。それに対して、腫瘍性膵のう胞は、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性のう胞腫瘍(MCN)、漿液性のう胞腫瘍(SCN)などがあります。腫瘍性膵のう胞の多くは症状に乏しいため、超音波検査やCT検査などの検査施行時に、偶然見つかることが多いです。良性が多いため、特に治療を要さず、経過観察する場合が多いです。しかし、一部悪性のものがあり、また良性と診断されても時間が経過することで悪性化する膵のう胞も存在します。悪性が疑われる場合は手術によって切除する必要があるため、腫瘍性膵のう胞と診断された場合は、定期的に精密検査を受けることになります。
「腫瘍性膵のう胞」の中で、頻度はIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)が圧倒的に多く、良性(過形成や腺種と呼びます)から悪性(通常型の膵癌)まで様々な時期があります。そして、一部は良性から悪性へと変化していくモノがあるので、診断された場合に、良性から悪性までのどの段階にあるのかを、慎重に見極めることが重要になります。たとえ悪性化していても膵管内にとどまっている状態であれば、治療により根治が期待できますが、膵管外に広がってしまうと、通常の膵癌と同様に悪性度の高い癌となります。診断した時点での状態に応じて、きちんと経過観察していけば、癌になる前の段階で診断することが可能です。また、IPMNには、腫瘍が主膵管に存在し、粘液が主に主膵管にたまる「主膵管型」と腫瘍が主に分枝に存在し、分枝内に粘液がたまる「分枝型」及び両者の「混合型」に分類されています。多くは分枝型で悪性化する率も低いのですが、主膵管型や混合型は悪性化の危険性が高いとされています。分類による対処方法については、以前より国際診療ガイドラインが示されており、経過観察する場合においても、それぞれの悪性化の危険度などを加味して、検査法や観察間隔及び期間が決められているので、定期的な検査が必要となっています。
by 破易怒
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