青森市の女子中学2年生がいじめ被害を訴えて自殺した問題で、市いじめ防止対策審議会は、学校側が組織的に対応できていなかったと報告書で指摘していましたが、「起立性調節障害(OD)」への対応もその一つと考えられます。10代前半に多い病気で、「怠けている」と誤解されやすく、この女子中学生がいじめを受ける背景にもなっています。
審議会の報告書や遺族によると、女子中学生は、1年半位まえから頭痛や体のだるさを訴え始め、病院で風邪と診断されました。しかし、風邪薬を服用しても改善しなかったため別の病院を受診して、数カ所目に訪れたクリニックで初めてODと診断されました。
小児科・内科の専門医師によると、ODは自律神経がうまく働かなくなることで起こるので、「朝起きづらい」「体がだるい」「頭痛や腹痛が時々ある」などの症状が出ます。「体格が急に成長する思春期の子供に多く、中学校ではクラスに1~2人はいるのではないか」と説明しています。
午前中は体調が悪くても、午後から夜にかけて元気になる子もいるので、周囲から「怠けている」などと誤解されたり、不登校につながったりするケースもあるようです。思春期の子供にとって珍しくない病気ですが、学校の先生でしっかりと理解している人はまだ少ないようです。
審議会の報告書によると、学校側はこの女子中学生がODと診断されたことを把握していましたが、正確な知識が足りず、同級生らに病気への理解を浸透させられていなかったため、この女子中学生がずる休みをしているとの印象を周囲に持たれ、それを口実にしたいじめを止めることができなかったようです。
OD(起立性調節障害)は、身体疾患であるため、根性や気持ちの持ちようだけでは治らないので、保護者、教員がODを十分に理解し、全体で子供を見守る体制を整えていく必要があるようです。
by 珍香鈴
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