一般的に、不潔・汚い環境のほうが、病気になるリスクが高くなるイメージがありますが、世界でもトップクラスの清潔な我が国では、アレルギー疾患者数が増加しています。ドラッグストアでは、さまざまな除菌グッズが並び、「除菌」や「殺菌」が徹底されて清潔で病気になるリスクが下がるはずなのに、アレルギー患者数は増加している逆の結果が出ているのが現状です。
アレルギーを発症するメカニズムは、まだまだ研究段階ですが、イギリスの疫学者の仮説は、「乳幼児期の衛生環境によって、アレルギー体質になるかどうか、決定される」というものです。除菌グッズが増え、きれいで、清潔な環境で過ごす今の子供たちにとって、清潔な環境は、アレルギーの発症を抑えているように見えます。ところが、この清潔な環境にこそ問題があるのではないか、と考えられています。乳幼児期に、清潔な環境で過ごしていると、細菌・ウイルスに対する抵抗力・免疫力が十分に育たず、それがアレルギーの発症に、大きく関係すると言われています。
幼児期に、細菌などを全く排除してしまい、影響を受けない環境にいる子供は、成長とともに、免疫力が形成され難いので、全ての細菌などを排除してしまうのは良くないと考えられています。
外食すれば、店員さんがアルコールスプレーを使って、テーブルを丁寧に噴き上げる光景を目にすることも多く、公共施設やホテルなどでは、「抗菌マーク」を目にする機会も増えていて、様々な場所で、殺菌・除菌・抗菌をしています。
確かに殺菌・除菌・抗菌は食中毒を防ぎ、さまざまな感染症を予防できるのは事実ですが、小さいころの育った環境によって、備わっていく免疫力が変わってきますので、殺菌、除菌を過度にしないように努めていただきたいと思います。毎日の掃除は、サッと埃やゴミをとる程度で、1週間に一度、しっかり掃除するようにすれば十分です。ある程度の清潔さは大切ですが、必要以上に神経質になりすぎていないか、見直していただきたいと思います。
by ベクトル
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