口を大きく開けて、喉の奥にぶら下がっている突起を一般的に「のどちんこ」と呼んでいますが、正式名称は口蓋垂(こうがいすい)と言います。口の天井部分全体を口蓋と言って鼻腔と口腔をわけていて、口蓋の硬い部分を硬口蓋と言い、その後ろに筋肉のかたまりの軟口蓋があり、その最後方についているのがのどちんこ(口蓋垂)です。
お口から入った食べ物は、咽頭を通過後、食道を通って胃にいきます。ところで咽頭は鼻腔とも繋がっておりそこから空気を取り入れています。そのため通常は口蓋垂がぶら下がって気道を確保していますが、このままでは食べ物や飲み物が鼻腔に入ってしまいます。だから、飲食物を飲み込む瞬間に鼻からの空気の通り道を遮断する必要があり、それをしているのが口蓋垂です。口蓋垂は、軟口蓋と連動して瞬間的に持ち上がり飲食物が鼻腔に逆流するのを防いでくれるのです。なお咽頭の先は食道と気管に分かれていますが、鼻腔側を遮断すると共に喉頭蓋(こうとうがい)が気管の入口を閉じて気管内に飲食物が入らないようにしている重要な役割を担っています。
因みに多くの方が、むせるという経験していると思いますが、飲食物が誤って気管に入ったこと(誤嚥)が原因で起こります。特に高齢者の場合、誤嚥性肺炎につながり生命を脅かすこともあるため注意が必要です。人の正しい呼吸は鼻呼吸で、鼻の穴から肺までの空気の通り道を気道といい、通常はのどちんこがぶら下がっていることで気道を確保しています。のどちんこの役割である飲食・呼吸のことを考えると、鼻腔と口腔を完全に閉鎖すれば、「鼻から肺へ“空気”を」、「口から胃へ“食べ物”を」と完全に通り道を分けると「むせる」なんて苦しいこともなくなりそうです。
しかし、そうしてしまうと人は口から言葉を発せることができなくなります。のどちんこは、発声を助ける役割もしているので、人には無くてはならない存在なのです。
by ベクトル
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