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後鋸筋

 後鋸筋は、背中の割と深い層にある薄い筋肉です。脊椎と肋骨を繋ぐように走行しており、上後鋸筋は、首辺りから斜め下に走行して上部肋骨に、下後鋸筋は腰辺りから斜め上に走行して下部肋骨に付着しています。何本かの肋骨に分かれて付着している様子がノコギリの刃のように見えるので「鋸」という漢字が当てられています。上後鋸筋は肋骨を上に(首の方へ向かって)引き上げ、下後鋸筋は肋骨を下に(腰の方へ向かって)引き下げる役割を担っています。
 後鋸筋がその動きに関わるという肋骨は、呼吸を担う肺を守る鳥かごの様な形をしています。しかし、肺自体には自力で伸び縮みする機能はありません。以前ご紹介した「横隔膜」等の呼吸筋が収縮することで胸郭が膨らみ、中が陰圧になることで肺が膨らむ、これが息を吸う(吸気)という状態です。横隔膜が緩んで陰圧状態がなくなることで肺がもとのサイズに戻る、これが息を吐く(呼気)という状態です。つまり、呼気の場合は、筋肉は基本的に働かなくても大丈夫な構造になっています。
 安静時の普通に呼吸している時は、後鋸筋の参加も少ないですが、意識的な努力吸気では上後鋸筋、努力呼気では下後鋸筋が参加してきます。つまり激しい運動などをして呼吸するときは、補助する筋肉の動員の一つとなります。また、気管支ぜんそくなどの、気道が狭くなってしまっている状態などでも起こりますし、本来呼吸で使うべき横隔膜や肋間筋が弱くて使い難い場合などにも作用します。
 また、体幹の回旋において、上肢(腕)を一緒に後ろへ回すと広背筋がメインに働きますが、下後鋸筋は、上肢と広背筋の動きを抑制したうえで、体幹に特化した回旋に働く筋としての機能を持ちます。働くシーンの例としては、野球の投手やゴルファーが体幹を捻って振りかぶる動作などが挙げられます。その他、スポーツ全般に体幹の回旋が必須なのはもちろん、下後鋸筋の働きは日常生活にも不可欠です。胸郭の可動性を高めて呼吸を深め、チェストグリッピングを制御して疲れない姿勢を保つうえでも、後鋸筋の働きを落さないようにしたいですね。
by 筋知良
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