この夏も非常に暑い日が続き、汗だくになった身体を「お風呂でゴシゴシ洗うのが気持ち良い!」と思う方もいらっしゃると思います。しかし、その行為が、常在菌が作ったバリアを壊してしまっているかもしれません。皮膚は人体で最大の臓器とも言われ、約1000種類以上とも言われる常在菌が存在すると言われています。
これらの細菌は、遺伝子配列を用いた解析によって、代謝型、従属栄養性細菌であることが確認されています。今まで見つけられなかった細菌が、新しい解析方法では、皮膚には通常の方法では培養できない細菌が多数存在することが確認されているとのことです。
皮膚常在菌は、それぞれ生存する場所が分かれていて、代表的な皮膚表面や毛穴に存在する表皮ブドウ球菌は、汗や皮脂を餌にグリセリンや脂肪酸を作り出して、弱酸性に保ち抗菌ペプチドを作り出すことで、黄色ブドウ球菌の増殖を防ぎます。表皮ブドウ球菌が出すグリセリンは、皮膚のバリア機能を保つ役割があるので、表皮ブドウ球菌を減らさないように保つことは、アルカリを好む病原性の強い黄色ブドウ球菌や真菌などの繁殖を防ぎます。しかし、乾燥すると表皮ブドウ球菌が棲み難く皮膚はアルカリ性に傾いてしまい、肌荒れに繋がります。
皮膚を弱酸性に保つことで、他の病原細菌の侵入を防いだり、常在菌が抗菌性ペプチドを出してほかの細菌の侵入を防いでくれています。だから、皮膚を抗菌性の石鹸で洗ったり、あまりゴシゴシ洗うと、常在菌たちが作ってくれた肌のバリアが崩壊してしまうことになります。外出先から帰ったときは、水洗いで十分で、抗菌石鹸や消毒などは、使わないようにしてください。また、ゴシゴシ洗い過ぎは、バリアを壊すだけでなく、皮膚の表面に傷をつけて病原菌の侵入を誘発することにもなるので、気を付けてください。全身を洗う時は、抗菌作用のないシャンプーや石鹸を泡立てて、優しく撫でるように洗って、強い刺激にならないようにしてください。我々の身体を守ってくれている大切な常在菌を死滅させてしまわないように努めてくださいね。
by 参鶏湯
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