米国イリノイ大学の研究で、成人の筋肉中に存在する幹細胞(組織や臓器に成長し、分化する元となる細胞)が運動に反応して活性化することが確認されています。マウスの実験で、筋中の間葉幹細胞の蓄積が強度の高い運動を行わせた後に高まることが報告されていました。間葉幹細胞の蓄積が、直接筋組織の再生を促すというわけではないのですが、成長因子を放出する事によって筋再生を促していくことに関わっています。そして、運動後の筋の作用の増進が、細胞上における基盤を形作ることが確認されたようです。
例えば、ケガによって筋肉が損傷した場合、筋組織の炎症症状が現れ、筋組織回復に重要な働きをすることは知られています。そして、運動による筋の微細損傷においても同様のことが起こることを検討した結果、筋中の再生サイクルにおいて成長因子を多く分泌するという特性は、全身性の健康にも大いに作用するようです。また、定期的な運動習慣においても身体にいろいろな良い効果をもたらす可能性か強く、まだたくさん新しい識見が出てくる可能性があるようです。
身体を動かすことにより、筋肉から放出される『マイオカイン』というホルモン様の物質の話は何度か紹介させていただきましたが、その効能なども含め、まだまだ人の身体には未知の可能性があると考えられます。このような効果を考えると、痛いからといって安静ばかりでは治りは遅くなるどころか、良くならないことが分かります。また、脳性片麻痺の方のリハビリにおいても、あまり身体を動かしていなかった時は、色々なところが委縮してしまっていましたが、他動でも身体を動かしていくことで、自身での動かす感覚も少しづつ引き出されて、下半身においては力が入るようになっています。ヒトの身体は、動かすことを基準に造られているので、身体を動かすことの大切さとその効果を自身の身体でも体験していただければと思います。
by グランブラー
クリックしていただくと順位が確認できます。
