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體(からだ)

 「體(からだ)」という漢字は、現代では「体」という新字体に置き換わり、日常では見かけなくなりました。しかし、旧字体に目を向けると、先祖が身体をどれほど大切に見つめてきたかが読み取れます。漢字は文化の記憶を刻む存在であり、「體」はその中でも“身体そのもの”を深く象徴する文字です。
 「體」の起源は甲骨文字までさかのぼり、骨格がしっかりしていて、かつ肉付きが豊かで形が整った「身体」を意味するようになったと考えられています。つまりこの文字は、骨と肉が調和した健やかな身体を描いたもので我々の先祖にとって、健康とは生命力そのものであり、その感覚が文字の形にそのまま反映されているのです。篆書の段階になると、ここに「本」が加わり「豊・本・骨」の組み合わせとなります。「本」は“中心”や“体幹”を指し、人を支える軸を象徴します。現代において運動やスポーツで重要視される「体幹の安定」は、数千年前の文字の中にすでに表現されていたわけです。こうした背景から、「體」は単なる“からだ”以上に、骨格・姿勢・中心軸といった“身体の質”を示す言葉へと発展しました。
 旧字体「體」を眺めると、複雑な構造ながら一つの軸に向かって調和する形が印象的です。これは、動きや姿勢が整い、バランスの取れた身体そのものを思わせます。文字の成り立ちと現代の身体感覚が響き合うところに、漢字の面白さがあります。だからこそ、私たちが日々の運動やスポーツ、そして日常生活の中で身体の軸を意識し、調和のとれた動きを心がけることは、「體」が象徴してきた理想に近づくことでもあります。歩く、階段を上る、家事などの日常の動きも立派な身体づくりの一部ですし、筋トレや好きなスポーツに打ち込むことも、自分の「體」を整える大切な時間になります。
 「體」という字には、古代の人々が健やかな身体を願い、大切に扱ってきた歴史が息づいています。その思いに触れながら、今日も自分の體を少し良くするために、日常生活や運動の中でできることを積み重ねていきたいものです。
by 参鶏湯
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