烏口腕筋は、上腕の内側に位置する比較的小さな筋肉で、肩、腕の動きに関与します。名前の由来は、鳥の口ばしに似た肩甲骨の烏口突起から上腕を結ぶ筋肉という意味です。特に、肩関節の屈曲(腕を前方に挙げる動作)や内転(体の中央に向けて腕を引き寄せる動作)を助けます。
烏口腕筋は、肩甲骨の烏口突起と呼ばれる部分から始まりまって、上腕骨の内側に付着します。具体的には、上腕骨の内側中央部に停止します。烏口腕筋は、肩関節を屈曲させる主な筋肉の一つで、腕を前方に持ち上げる動作を助けます。また、腕を体の中央に向けて引き寄せる(内転させる)動作にも関与します。この筋肉は肩関節を安定させる役割も持ち、肩の動作がスムーズかつ安全に行われるようサポートします。
烏口腕筋は、繰り返しの動作や過度の使用によって痛みを感じることがあります。また、肩関節の前部に関連する痛みが発生する場合、烏口腕筋の炎症や緊張が原因の一つとなっていることが多いです。烏口腕筋は小さな筋肉なので、これ単体で大きな働きを担っているというより周辺にある上腕筋などの大きな筋肉の働きをサポートとしての作用が大きいと考えられています。サポートとしての働きがメインと言われていますが、烏口腕筋の働きを高めることで二の腕が引き締まって見えるといううれしい効果もあります。肩の内転動作では、烏口腕筋の他に、広背筋、棘下筋、小円筋、大円筋、上腕三頭筋、三頭筋、大胸筋なども肩の内転動作を行います。
烏口腕筋の働きが悪くなると猫背などの悪い姿勢や、スムーズな肩関節の動きを阻害してしまいます。特にパソコンやスマホを長時間使う人は、知らず知らずのうちに烏口腕筋の働きが落ちて硬くなってしまっています。つまり、烏口腕筋がしなやかになることで、猫背の改善や、最近増えている巻き肩の改善も期待できます。烏口腕筋を意識的にトレーニングで刺激することで、その周辺の肩関節を支える筋肉の動きにも影響が出てきます。
また、肩を大きく動かすようなスポーツをされる方なら、烏口腕筋の強化によってパフォーマンスが向上するだけでなく、肩周りの筋肉の動作を安定させるため、ケガの予防にもなります。烏口腕筋は、肩周りのさまざまな筋肉をサポートしているため、この働きを落さないようにすることによって色々な効果が期待できそうです。
by 破易怒
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