アスリートが競技能力を向上させようとして、禁止されている物質(薬)や方法を使うことを「ドーピング」と言います。そして、意図していないものも含め、ルールに反し競技能力を高める行為や、それらの行為を隠すことも含まれます。一般的な方法として、タンパク同化ステロイドと呼ばれる摂取したタンパクを筋肉増加促進に作用するモノや精神を興奮させるようなモノが多かったので、オリンピックや国際大会などのドーピング検査は国や宗教の関係もあり尿検査でした。しかし、最近は血液検査も加えて行うようになっているのは、エリスロポエチンというホルモンを含んだ薬物を使用する例が増えてきていて、尿検査で分からないからのようです。
エリスロポエチンは腎臓で作られる造血ホルモンのことです。このホルモンを合成した薬物は、本来貧血などの治療として使われていますが、赤血球の数が増え酸素の摂取量を増大させることができるので持久力が高まります。酸素の摂取量が増えると身体のエネルギー源ATP(アデノシン3燐酸)をたくさん産生できるようになります。
地球が誕生したころ地球上には酸素が存在していなかったので、この時期の生物は酸素を利用していませんでした。しかし、進化の過程で、酸素をうまく利用することが出来るようになり、生物は大きくなってもエネルギーの供給が間に合うようになり、今では酸素を使って栄養素からエネルギーに変えて生命活動をするのが当たり前になっています。
また、酸素濃度の低い場所(高地)でトレーニングをすると腎臓より造血ホルモンであるエリスロポエチンが大量に分泌され、赤血球が増産されて酸素運搬が増えて持久機能が上がります。マラソンランナー等の持久力を必要とするアスリートが高地でトレーニングする理由の一つがこのためです。それを薬物で頼るのは、スポーツ精神に反します。また、薬物は毒であると薬学書の最初のページに記載されているものもあるので、身体に良くありません。
by 頃僕来
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