テレビや雑誌で取り上げられる最新の健康法のなかには、日本人の体質に合わないものも多々見受けられます。欧米のデータをもとに検証された健康法が、日本人にそのまま当てはまると考えるのは間違いです。基本的に体質とは、それぞれの身体がもつ性質や傾向のことで、両親から受け継いだ遺伝子と、食生活や運動などの生活習慣、そして周囲の環境などの影響が絡み合って形成されています。日本は島国で、さまざまな人種の人と暮らしたり結婚したりする割合がそれほど高くなかったこともあり、欧米人やその他のアジア人とも異なる体質を身に付けてきました。
例えば、日本人の体質は、一般に肝臓でアルコールを分解する力が弱く、欧米人と比較するとかなり弱いですが、伝統的に魚を多く食べてきたので、血液中にEPAとDHAなどが多いことが上げられます。アルコール摂取量が少なく、血中に善玉コレステロールが多いことで欧米人に比べ動脈硬化になり難いようです。また、日本人の腸にはビフィズス菌をはじめとする善玉菌が多いので、腸内環境がきれいなことが、日本人の寿命の長さや肥満率の低さと関連している可能性も指摘されています。腸内環境を整えることの必要性が広く言われていますが、もともと日本人の腸内環境は悪くはないので取り立てて腸活などをする必要が無いようです。
しかし、体質は生活習慣や環境によって変わるので、長年日本人が守ってきた食習慣がくずれてきているので、どんな食生活を送るかは非常に重要です。欧米人の胃は壁が厚く、胃酸をしっかり分泌でき、食べ物を速やかに押し出して、たんぱく質や脂肪を腸で消化するのに適した形をしています。一方、日本人の胃は釣り針のようで、食物繊維が豊富な穀類をしっかり溜め込み、砕いてどろどろにして消化するのに適した形です。また、腸に炭水化物からエネルギーを引き出すのに役立つ菌が多いのも日本人の特徴です。
つまり、胃と腸はそれぞれの人種の伝統的な食生活によってそれぞれに適した形や機能になっています。だから、脂肪分の多い食事が続くとそれが長時間腸にとどまるため、便通が悪くなり便秘になります。糖尿病予防やダイエットのために炭水化物である主食の量を大幅に減らす糖質制限を続けている人も多いですが、日本人の体質を考えると、低脂肪食のほうが良いようです。
by ボヤッキー
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