骨盤底筋群は、骨盤の底部に位置している一連の筋肉と結合組織の集合体を指します。今回は、代表的な骨盤底筋の役割などを紹介させていただきます。
・浅層：外肛門括約筋や外尿道括約筋などの括約筋、球海綿体筋や坐骨海綿体筋などの勃起筋により構成されます。
・中間層：尿生殖裂孔を覆うように骨盤底前方を支持する尿生殖隔膜（浅会陰横筋、深会陰横筋）により構成されます。
・深層：尾骨筋と肛門挙筋（恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋）により構成され、骨盤隔膜とも呼ばれています。なお、肛門挙筋は、排泄に関して凄く重要な筋肉で、特に女性は、出産による影響を受けて、出産後の色々なトラブル（尿漏れや痔など）の原因にもなると言われています。そして、腸骨尾骨筋は、股関節の外旋六筋の1つである内閉鎖筋と付着部が連結しています。だから、股関節の内外旋の動きが起こった際には骨盤底筋群にも刺激になります。「内閉鎖筋」は、骨盤底筋群の中の腸骨尾骨筋という筋肉と連結しているため、内閉鎖筋を骨盤底筋群の一つに数えることもあります。
　現代では、骨盤が前傾している方が多いですが、骨盤が過度に前傾位になると機能が低下し、骨盤内の臓器を支持する機能も低下します。骨盤内の臓器は骨盤底筋群と靱帯によって支持されていますが、骨盤の前傾などによって筋肉の支える力が低下すれば、その分だけ靱帯にかかる負担が増加します。長期に渡って靱帯に頼っていると、徐々に靱帯は弛んでしまい、筋肉と靱帯の双方ともに骨盤内の臓器を支持する力が弱くなってしまいます。だから、骨盤底筋群の機能を改善するうえでは、まずは姿勢の改善が重要だということです。そして、前述のように姿勢が崩れることで骨盤底筋の機能低下を招き、内閉鎖筋の機能にも影響します。内閉鎖筋は股関節を安定性させるうえでもかなり重要な筋肉なので、骨盤が前傾している方は、まず骨盤の前傾を修正し、正常な位置関係をとれるようにすることが股関節や骨盤底筋の機能を高めるうえでも重要です。
　このように、骨盤底筋群は単に臓器を支える・排泄に関わるだけでなく、股関節の動きにも大きく関与しています。適切な運動で正しく股関節を動かし、股関節周辺の働きを高めることが骨盤底筋群の働きを向上させてくれます。
by COMO

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