野菜には、炭水化物やたんぱく質、脂質といったエネルギーを作り出すことのできる栄養素は、動物性の肉や卵、牛乳などと比べるとあまり多くなく、吸収も良くないです。しかし、エネルギーを作り出すときの潤滑油となる「ビタミン」と「食物繊維」が多く含まれていて、身体に有効に作用してくれます。食物繊維は、かさがあって食べ応えがある一方で、エネルギー源となる栄養素の含有率が低く、吸収が良くないので、野菜が低カロリーで太り難い、健康的なものと捉えられている理由です。
野菜をミキサーで粉砕しただけでは、液体の中に食物繊維が残り、口当たりの悪いジュースになってしまいます。自宅のミキサーで作る野菜ジュースなら、口当たりが多少悪くても、そのまま食物繊維も摂れるのですが、製品化されている野菜ジュースは、濾したり絞ったりして滑らかな飲み心地にされており、さらによりおいしく感じるように砂糖や果汁などで味も整えられています。また、野菜に多く含まれる、水溶性ビタミンは酸素・光・熱によって分解されやすく、野菜をカットした時点で分解が始まるのに、ミキサーで粉砕し、絞り、味を整え……という工程を経る中で、元々持っていたビタミンもかなりの量が分解してしまうと考えられます。また、ビタミンだけでなく、食物繊維に関しても「水溶性食物繊維」と「水不溶性食物繊維」があり、後者は搾りかすとして廃棄されてしまうため、製品の中には含まれていません。
食物繊維は、固さがあるのでよく噛む必要があります。これによって脳が「食べた」としっかり認識でき、満腹感が生まれます。そして、食べ物と唾液をしっかり絡ませることで、消化吸収を助け、胃腸の働きをサポートしてくれます。さらに血糖値の上昇を緩やかにするため、糖尿病のリスクが下がります。野菜ジュースは噛む必要がないので、手軽な反面、あまり満足感を得ることができませんし、血糖値などへの効果もあまり見込めません。似ているようで、全く異なる、似て非なる物です。野菜ジュースに頼らず、食事で野菜を摂るのがベストなようです。
by chirune
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