コラム

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お酒と健康

 アルコールが、身体へどのような影響を及ぼすかの最新のエビデンスから確認していくと、飲酒量が増えるほど感染症、多くのがん、消化器系の病気(肝臓病など)、心臓・血管疾患での発症リスクが上がるという関係が確認されています。また、今回の研究では、アルコールが直接の原因となる疾患が48種類から62種類へと拡大されたことも報告されています。科学が進むほど、お酒との因果関係が認められる病気の数は増える傾向にあります。
 一方で、長年議論されてきた「まったく飲まない人より少量飲む人のほうが心臓病リスクが低い」という考え方については、今回も完全に否定されたわけではありません。虚血性心疾患(いわゆる心筋梗塞につながる病気)、虚血性脳卒中、2型糖尿病については、少量〜中程度の飲酒でリスクがやや低下するように見えるデータが存在します。ただし、この「低リスク」が現れるのは一度に大量に飲む習慣がない場合に限られるという条件つきです。さらに注目されているのが、遺伝情報を使った新しい研究手法「メンデルランダム化(MR)」による分析です。この手法は、生活習慣の影響を取り除いてアルコール自体の効果だけを評価できるとされ、20件の研究が分析されて、「有害」を示すものが多かったと報告しています。
 慢性的な飲酒量だけでなく、「その日の飲み方」もリスクに大きく関わります。急性の酔い(急性中毒)は事故やけがのリスクを大幅に高めるだけでなく、自分だけでなく周囲の人を傷つける可能性も含まれると研究は強調しています。交通事故、転倒、暴力——これらは飲み方を整えることで、比較的速やかにリスクを下げられることも示されています。慢性疾患への影響については、一度ついたダメージが完全には元に戻らないケースも多いことが示されました。たとえば肝臓や一部のがんリスクは、飲酒量を減らしたり、お酒と距離を置いたりすることで部分的には改善する可能性があるものの、完全な回復が見込めない場合もあります。一方、急性の影響(翌日の体調不良や事故リスクなど)は、飲み方を変えることで比較的すみやかに変化します。
 この研究が示すのは、お酒と健康の関係は量・頻度・飲み方・年齢・個人の体質が複雑に絡み合っているということなので、自分のペースでお酒との関係を見直すことは、毎日の暮らしを楽しむためには大切なことです。
by ボヤッキー
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