不整脈と聞くと、脈拍に異常がある病気と思われがちですが、不整脈とは脈拍の異常ではなく、心臓のリズム(調律)がおかしくなったことをいいます。「不整脈」を英語でarrhythmia(アリズミア)と言い、日本語に読み替えれば、「否リズム状態」すなわち「(心臓の電気的興奮の)リズムが変化した状態」ということになります。このように考えると、「不整脈」というよりも「心調律異常」あるいは「心臓リズム異常」といったほうがより正確に病態を表します。
しかし、医学の世界にこの概念が取り入れられたときから、わが国では「不整脈」という言葉がずっと使われており、心臓の電気的興奮のリズムが異常になった状態にも拘わらず、病名と捉える方が多いのです。そして、この不整脈には、大きく分けて脈がとぶように感じる期外収縮、脈が速くなる頻脈、脈が遅くなる徐脈の三つがあります。
通常心臓は1分間約60~80の規則的なリズムで拍動を繰り返していますが、このリズムは右心房にある洞結節で作られます。ここで発生するごく微量の電気が心臓に備わっている「刺激伝導系」という経路をつたって心房から心室に伝達されて心臓の拍動を生じ、血液が送り出されます。この「刺激伝導系」はいわば天井裏を張っている電線のようなものだと考えればよく、その途中の心房と心室の間には房室結節と呼ばれる変電所のようなところがあって電気が心室に伝わるのを遅らせ、心房の収縮のあとわずかな時間差をおいて心室の収縮が起こるようになっています。
健康成人で不整脈がまったくない人はいないといってもよいほど、不整脈は一般的なものです。不整脈がありながら自分ではまったく気づかず、身体検査ではじめて不整脈を指摘される人もあります。不整脈を指摘されたとき、脈の不整や激しい動悸を感じたときは専門医を受診しましょう。それがどんな不整脈なのか、そのまま放置しておいてよいものなのか、危険な不整脈に発展するものでないか、治療を要する不整脈なのか、などを確認してください。治療しなくても良いものが多いですが、不整脈によっては心不全や失神発作を起こしたり、脳梗塞を併発するものもあるので、確認することが重要です。
by グランブラー
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