国内で透析治療を受けている患者は、2020年時点で34万人を超えています。通常は週に3回通院して腕に針を刺し、3時間以上かけて血液を濾過し、老廃物を取り除きます。高齢化によって患者の平均年齢は年々上がっていて、透析治療を始める年齢も高齢化し、80歳以上が29%を占めます。高齢者は認知症や心臓の病気など複数の病気を持つ人が多く、患者にとっては通院そのものや、心不全や貧血などの合併症も負担になります。透析をやめれば通常、2週間で亡くなると言われており、見合わせの場合は数カ月以上の予後があるとされていますが、生命に関わる決定のため、終了や見合わせを決めるプロセスが重要とされています。
日本透析医学会は2020年、終末期でないときの見合わせも含めた手順を示す提言をまとめていますが、透析しない場合の標準的な医療・ケアは定まっていませんでした。日本医療研究開発機構(AMED)は日本の医療研究の司令塔役として2015年に発足した国立研究開発法人で、日本腎臓学会理事長を代表者に、関連学会のメンバーらで構成されています。日本透析医学会や日本在宅医療連合学会などに所属する医師がいる全国の病院や診療所に、この2年間に透析の終了や見合わせをした数を聞いたところ、451施設が回答し、終了492例、見合わせ917例と計1409例の報告がありました。それらを基に、腎不全の患者が透析を選ばない場合に、尿毒素がたまっておきる症状の説明などに加え、心理的苦痛をやわらげるための治療やケア「保存的腎臓療法(CKM)」の重要性を示しました。CKMは、透析をせずに症状を軽くし、精神的な支援を重視するもので、欧米では広がっていますが、国内では患者側の望みにそって提供する施設はほとんどありません。
「透析治療を選ばない」という患者の望む治療を早期に確立して欲しいモノです。
by グランブラー
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