新型コロナウィルスの予防のためにマスクを利用している方が、たいへん増えてきています。しかし、基本的にマスクでは、予防効果は、ほとんど期待できないと報告されています。日本人をはじめ東洋人は、マスクを着けるのが好きと言われますが、そもそも(感染症に関しては)マスクは予防のために使うというより、感染してしまった人が周囲に広げないために使うものです。コロナウィルスやインフルエンザに罹ってしまった人がマスクを使用することは、感染の広がりを防ぐために非常に重要ですが、罹患していない人が予防のために着用するのは、予防医学の視点からは有効な予防対策ではありません。
感染していない人が、マスクを着用することで周囲からの感染を防ぐ効果は、これまでの欧米各国での研究では、マスク単独での予防効果は全く示されていません。マスクを着用した人と、マスクを着用しなかった人とを比べても、かぜやインフルエンザの発症率に全く差はないとする報告の方が多数です。
マスク予防効果の低い理由は、気密性の高い医療関係者利用のN95マスクですら、ウィルスの通過を妨げることはできません。ウィルスの大きさは、大きいモノで0.1㎛(マイクロメートル)でマスクの網目は5㎛なので、難なく通過してしまうことになります。感染者の咳やくしゃみ等の飛沫は、ウィルスがその中に閉じ込められた状態(5㎛程度)になっているので、マスクでシャットアウトできます。
また、朝から晩まで一日中マスクを着けている方については、感染管理的には逆効果になるようです。その理由は、マスク表面はしばしばウイルスや細菌で汚染されてしまい、それらを集中させてしまうからとのことです。感染症の予防には、手洗いとうがい(効果は低いという報告もあります)、鼻呼吸が有効なので、コロナウィルスやインフルエンザに罹りたくない場合はしっかりと行ってください。しかし、過剰に怖がるより、自己免疫力を信じて、それを落とさないように努めたいですね。
by 太久籠
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