食道がんは、年間に約2万5000人が新たに罹り、約1万2000人が亡くなっています。喫煙と飲酒がこのがんになる危険性を高めます。だから、喫煙、飲酒率の高い男性が女性の5倍ほどなりやすく、50歳代から増え始めます。
食道がんの治療法は、胸を大きく切り開く手術が主流で、食道の大部分と周囲のリンパ節を切除し、胃をのど元まで持ち上げてつなぎ合わせる方法が多くを占めます。食道は気管と背骨にはさまれた体の奥にあります。周囲には心臓や肺があるため、その手術は非常に高い難易度ですが、40年以上前から行われています。のど元と右胸、腹部の3か所を、10センチ以上切開し、肋骨も切る大がかりな手術なので、患者の体の負担も大きくなります。手術後の肺炎の発症率は約14%と報告されていますが、器具を動かすスペースを確保するため、麻酔で薬を使って右肺をしぼませる処置を行った影響とみられています。この処置中は、左肺のみで呼吸を行わなくてはいけません。肺の機能が弱いと、手術が受けられないこともありました。
しかし、内視鏡手術は、体の表面に小さな穴を開け、カメラやメスなどの器具を入れるので小さい傷で済みます。また、2018年に公的医療保険の適用となった縦隔鏡手術は、肺炎など手術後の合併症も抑えられるのが特長です。のど元に3センチほどの小さな切り込みを入れて、そこから縦隔に器具を入れるので、器具は両肺の間をぬって食道に届くため、肺の処置は不要で肺炎の発症率も下がります。開胸手術と比べ、手術後の食欲不振や疲労感などの不調も明らかに減りますが、高い技術が求められるため、実施する病院はまだ限られています。
治療技術は上がっていますが、色々なリスクが無くなるわけではありません。食道がんは、予防することが可能ながんです。食道がんを発症させる可能性のあることを減らすように取り組むことで辛い思いをせずに済みます。
by ボヤッキー
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