脳の大きさは、自分の頭蓋骨の中に納まっていると考えれば、どれくらいの大きさかはだいたい想像がつくと思います。そして、人間の脳全体の容積は1,300mLくらい、重さは1,200~1,500gです。地球に存在する動物の中では大きい方で、ニホンザルは約80g、ゴリラは約550g、知的レベルが高いと言われるチンパンジーで約400gなので、私たち人間は、大きな脳を持っていると言えます。ただし、人間より大きな脳を持っている動物もいます。陸上動物で最大の脳を持っているのは、おそらくアフリカゾウでしょう。大人のオスで4.5~5.5kgと言われていますので、人間の3倍以上の大きさの脳を持っています。地球全体で考えると、マッコウクジラが一番だと言われており、オスで9~10kgの脳をもっているそうです。もし、脳が大きい方が優れているのなら、マッコウクジラはスーパーコンピューターを超える頭脳をもっているのかもしれません。しかし、ゾウやクジラは体が大きく、全体重に占める脳重量の割合でみると、人間で2%、アフリカゾウは0.1%、マッコウクジラは0.02%と決して大きくないのです。
また、認知症の原因疾患であるアルツハイマー病は、次第に脳が委縮していく病気です。神経細胞が死滅して脳が小さくなるにつれ、知的機能が損なわれていくので、脳が小さいよりも大きい方が良いように思えるかもしれません。しかし、知能レベルの高い人が必ずしも大きな脳を持っているとは限りません。
記録上最も大きい(重い)脳をもっていた有名人は、ロシアの文豪のイワン・ツルゲーネフで、2,000gを超えていたそうです。日本の文豪として有名な夏目漱石の脳は1,400g強、天才科学者として有名なアルベルト・アインシュタインの脳は1,200g強で、どちらかと言うと小さめだったそうです。フランスの詩人・小説家のアナトール・フランスの脳は1,000gくらいしかなかったそうです。大きさ(重さ)と知的レベルは、必ずしも相関しないようです。
by chirune
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